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前期5単位)呼称実技
   ・ベッドの準備

   ・必要物品

     脱毛針、脱毛セッシ、膿盆、ガーゼ、酒精綿、拡大鏡またはルーペ、ボールペン、メモ用紙
   ・患者準備

     トイレ、金属類除去、安楽な体位

   ・術者準備  

            手指の消毒、さらにゴム手、時計を外す、髪を束ねる、爪を短くする

   脱毛条件(出力・通電時間)の設定

      ・脱毛直下に対極板

      ・ライトを合わせる

      ・脱毛範囲の消毒、マス目を書く

      ・フットペダルに足をのせる(反対側と間違えない)

      ・針の装着  

            ニードルホルダーシャフトの確認

            針のシャフト部を完全に押し込む

            コードを首にかけて針先は視野内に置く


・呼称実技
 a. 氷冷却
 b. 水滴除去
 c. 毛流確認、皮膚伸展
 d. 右手の力を抜いて毛包に針挿入
 e. 基部まで入っている、押し込まない
 f. 通電開始、皮膚反応観察
 g. 通電音を確認、通電終了、足を離す
 h. 針平行抜去
 i. 毛抜去OK
    → 毛抜去時、抵抗あるときは d. に戻る

 


___________________________________________________


脱毛術の実際

1.脱毛前の術前検査と病歴


 電気脱毛術は、皮膚内に針を挿入する手技です。脱毛中、誤って針を術者の皮膚に挿入してしまう可能性もあり、特に感染症に対する術前の検査は必ず行なわなくてはなりません。

 検査項目については、B型肝炎・C型肝炎・梅毒・HTLV1抗体・HIV抗体・末梢血一般などを調べます。医療機関ごとの判断になると思いますが、脱毛期間の長い方は年に1回は採血したいと思います。
・HBs抗原が陽性の場合、さらにHBe抗原を調べ、もしHBe抗原も陽性の場合は、この患者には脱毛を行なわない。
・HBs抗原が陽性でHBe抗原が陰性の場合は、HBs抗体陽性者が行なうのが望ましい。HBs抗体陽性術者が行なう場合、妊娠している者、又は乳児を持つ者は不適とします。
・梅毒に関しては、ガラス板法が陽性の場合は、TPHA・緒方法など行い、必要なら専門医に相談します。その結果を総合して脱毛術の可否を決定します。
・最近は感染症が有る場合は絶縁針脱毛は受けませんが、レーザー脱毛は管理を厳格にした上で、施設で基準を決めて受ける事は出来るでしょう。

 その他、妊娠中の女性、心臓疾患のある患者、また感染しやすい糖尿病患者などは脱毛術を行なわないのが望ましい 。

 


2.脱毛術の基礎知識

(1)脱毛室の準備
 a. 室温を調節する(20℃以上、やや暖かい位が望ましい)。
 b. 電源プラグにコンセントを差し込む。
 c. 脱毛部位下、および術者の身体の触れるベッドの金属部分を覆うように(高周波の放電を防ぐために)広範囲にラバーシーツを敷く。
 d. 枕、タオルケット(毛布)、患者用術衣などの用意をする。
 e. 脱毛に必要な物品をそろえる。

(2)必要物品
 a. 個人用の針ケースおよび脱毛針
 b. 膿盆
 c. 脱毛鑷子
 d. 滅菌ガーゼ
 e. 酒精綿(ヒビテン綿球)
 f. アイスパック
 g. ルーペ(脱毛用および絶縁部確認用)
 h. ボールペン
 i. メモ用紙
 j. スキンマーカー
 k. 電卓

(3)患者準備
 a. 脱毛室に誘導し、脱毛部位を露出できる術衣などに更衣させ、時計指輪などの金属類をはずさる。

 b. 脱毛部位を確認した上で、出来るだけ楽な体位をとらせる。下肢の脱毛の場合、座椅子を用いても良い。

 c. その他
 患者の希望により、気分転換のため iPodや雑誌などの配慮を行なう。また、脱毛前および脱毛中も患者の精神状態、体調には注意を怠らない様にする事。
 さらに、術者側の準備になるが、脱毛中に誤って患者の皮膚を傷つけないように爪を短く切ったり、時計や指輪などは外すように配慮すべきです。

(4)脱毛針の準備
 前回使用し、保存しておいた針は脱毛前に拡大鏡または顕微鏡下に使い捨てカッターの刃にて針表面の酸化被膜をとります。その際、絶縁部の側から針先端に向かって注意深くみがく。


(5)基本的脱毛術(全単位に必要な事です)
 ここでは、氷冷却脱毛法の基本的な手技について述べます。
 a. 脱毛条件(針型・通電時間・通電強度)を決めます。

 b. 脱毛範囲を定め、酒精綿(ヒビテン綿球)にて消毒し、スキンマーカーなどでマス目を引きます。

 c. 対極板をあてて、ライトを合わせる。(対極板は脱毛部近くに置くと、電気凝固作用が強くなり、遠くに置くと弱くなります。)

 d. 針を装着します。

・ニードルホルダー先端部のキャップをゆるめて取り、ニードルホルダーシャフトが完全に締まっている事を確認してから、キャップを締めます。(ニードルホルダーシャフトが完全に締まっていないと、脱毛中に針が回転しないことがあります。)
・次にキャップを再度ゆるめ、脱毛針を差し込み、絶縁されていない針のシャフト部が完全に押し込まれた事を確認してから、キャップをしっかりと締めます。(絶縁されていないシャフト部がキャップの外に出ていると、通電の際に皮膚に熱傷を生じる可能性があります。)
・針を完全に押し込んでも針のシャフト部が出る時は、ニードルホルダーシャフトが完全に締まっていない場合とか、ニードルホルダーシャフトの先端の溝が狭くなっている場合などが考えられます。溝が狭いのは、ドライバーなどで押し広げることにより解消します。
・また、針を装着する際、ニードルホルダーの赤いコードが、回転しないように留意します。(コードが回転するとハンダ付け部で断線するおそれがあります。)

以上の様な針の装着法は重要ですので、基本操作として完全に身に付けなければなりません。
 

ニードルホルダーの分解

(上)
 ニードルホルダーシャフトを締めている写真。
ニードルホルダーシャフト(左指)は固定し、白色のホルダー(右指)

をまわしていく。逆をすると、ハンダ付け部がねじれて断線する事も

ある。
 

 

 

 


(中)
 脱毛針を装着し、キャップをしめてる所。

 

 

 

 

 


(下)脱毛針の装着
 左:良い例
 右:悪い例
脱毛針をキャップに装着する時、充分に奥まで押し込んでからキャッ

プを回さないと、右のように絶縁されていない部分が出てしまう。

 

 


 e. 右手(利き手)にニードルホルダーを、左手にアイスパックと脱毛鑷子を持つ。(ニードルホルダーは、第一指、第二指、第三指、で筆を持つように軽く保持します。脱毛鑷子は他方の手で同様に持ちます。アイスパックの使用方法は前述した通りです。

 f. アイスパックを外した直後に、左右の第四指、第五指を用いて、皮膚を充分に伸ばしながら、針を毛穴より毛根に沿って、毛の下側から刺入していきます針刺入時に抵抗があるときは、皮膚が充分に刺入されていなかったり、毛根に沿っていなかったりする場合が多いので、毛の方向・角度をよく把握してから再刺入します。特に腋窩、ビキニラインなど皮膚が柔らかい部位では、皮膚を充分伸展させて、はじめて毛包が直線に伸びます。
 針の絶縁部先端部が皮膚内に刺入される時、直径が絶縁のため太くなっているので、針が止まる事があるので注意します。【図B】

 g. 針の絶縁部分まで刺入させたら、それ以上深く押し込まないように注意し、皮膚が平らな状態で通電します(フットペダルを踏む)。【図C】

 


【脱毛針刺入法】

 


A. 刺入点は毛の下側(ニードルホルダーを

保持している手指の力を抜いて、軽く刺入する)

 


B. この状態で通電しない事(図Bの状態と図C

の状態とは約1mmしか違わないので注意が必要)

 

 

 


 

C. この状態で刺入する

 


D. 深く刺入しすぎ(図Cの状態に戻す)

 

 

 


 

 通電中は「ピー」と音がします。 【図D】の様に刺入部皮膚が凹むと絶縁基部を痛めるので、この状態では通電せず、【図C】の状態にもどしてから通電する事が大切です。

 h. 通電音が消えたのを確かめた後、フットペダルから足を離します。通電が終了し、針を抜去するまでは、皮膚を伸展させている手指の緊張を解かないようにします。

 i. 通電終了後は針を挿入時と同じ方向・角度で抜去します。これは針を曲げたり、抜去時に皮膚を針で傷つけたりするのを防ぐためです。

 j. 鑷子を使用し、毛根部の走行に従い、針刺入時と逆の方向に向けて、同じ角度で毛を抜去します。無理な方向へ引っ張ると毛包内に毛根下部が残留し、毛嚢炎を引き起こす事があります。なお、毛が抜け難い場合は、もう一度、針刺入と通電を行い、毛を抜去します。手技に慣れないうちは、抜去するたびに、鑷子を利き手(右手)に持ち替えたがる傾向にありますが、最初から基本にあった持ち方(左手)で行なうべきです。

 k.抜去した毛を置くガーゼや酒精綿、拡大鏡、できるだけ手近に置き、時間的なロスを無くします。針の付着物は通電効果を弱めるので、付いたらすぐに酒精綿で拭き取り、その際に絶縁部の状態を拡大鏡にて確認します。
 また下腿の場合、脱毛範囲が広いので、適宜ライトを合わせて常に明るい中で脱毛が出来るように心掛けます。なお、無理な姿勢で脱毛を続けると針の刺入角度がずれる可能性ありますので、術者は脱毛中に座る位置を適宜考慮しなくてはなりません。

 l. 弱い電流を短時間通電しても毛は抜けます(たとえば、1/4秒×1)。しかし、これは毛乳頭が完全に破壊されたわけでは無いので、また毛は再生します。したがって、毛が抜けるからといって安心してはなりません。
 また、抜去した毛と針の長さを時折くらべて、毛球および毛乳頭まで針が届いているか確認しながら脱毛していきます。

 m. 脱毛中は常時、針先を自分の視野内におき、他にぶつけたり、引っ掛けたりして、針先を曲げないように注意します。特に、U型針・S型針は曲がりやすいので注意すべきです。

 n. 脱毛が終了したら、酒精綿にて、マス目の印を消し取るが、強くこすって脱毛後の皮膚を傷めないように注意します。脱毛後、発赤・腫脹などを強い場合には、冷凍した生食ガーゼなどを数分間あて、冷却処置を施した後に、ステロイド外用剤などを塗布します。

 o. 脱毛終了部位は、2日間は水やぬるめのシャワーだけにして熱いお湯には浸さない方が良いです。石鹸やタオルで強くこするのは、5日目位からとします。脱毛後、2〜3日上記外用剤を塗布します。

 

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